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2020.12.01所員・堀田耕司准教授の論文が Scientific Reports に掲載されました

「『見えない』ホヤ幼生の発見-可視光を90%通す超透明生物への進化-」

慶應義塾大学理工学部の修士1年紫藤拓巳、岡浩太郎教授、堀田耕司准教授らは、可視光の約90%が生体を透過する、驚くほど透明なホヤ幼生を見出しました。

本研究ではさまざまな種のホヤが持つ卵の透明性をハイパースペクトルカメラにより定量解析し、ホヤの卵における透明性の進化について論じました。生体の透明性は多様な生物群に現れる生態学的に重要なファクターでありながら、その進化的側面についてはあまり注目されていません。ホヤの卵もまた種間において色や透明性に豊かなバラエティを持つ一方で、この特性は今まで定量的かつ包括的に測定されていませんでした。本研究では、ホヤ卵の透明度の評価方法を確立し、日本沿岸の異なるホヤ種の卵の透明度を比較し、各種間の系統関係を解明しました。透明度は10~90%と幅広い範囲にわたり、各科で独立して進化した可能性が示唆されました。ヨーロッパザラボヤ(Ascidiella aspersa)の卵は測定された中でも飛び抜けて高い透明度を示し、まるでガラス玉のように透明であることがわかりました。孵化した後のオタマジャクシ型幼生においても同様の性質を持ち、眼以外は視認できないほどの透明性を示しました。さらにヨーロッパザラボヤと同じナツメボヤ科ホヤの卵はいずれも透明度が高く、卵の透明度を高く保つ系統発生的制約がある可能性があることが示唆されました。

本研究で示されたバラエティに富むホヤ卵の透明度は、卵や幼生を取り巻く周囲の環境において、さまざまな発生学的・生態学的要因が影響した結果、透明度が多様化して生じたものと考えられます。また生物の透明性に関わる研究はまだ数が少ない一方、漁業や医療分野、生物模倣などの技術に多大な影響を与えうる、ブルーオーシャン的な研究領域として非常に魅力的です。

研究成果は、2020年11月30日(英国時間午前10時)に英国科学誌『Scientific Reports』にオンライン掲載されました。

慶應義塾プレスリリース
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