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プロジェクト紹介

千葉県における顎口動物の生息調査

プロジェクト期間

2017年度プロジェクト [ 2017年度〜継続中 ]

目的

顎口動物は海岸の還元環境(貧酸素で黒化した砂)から出現する顕微鏡サイズの無脊椎動物で,生息環境が特殊なため世界的に生態や分類の調査が進んでいない.本邦では散発的な目撃情報はあるものの,論文報告は2016年の和歌山産1種のみで,他地域の生息状況は全く分かっていない. 本研究は,1990年代に2種(種名不明)の簡単な学会報告がされている千葉県の磯で採集調査を行い,種名を明らかにして正式な記載報告論文を公表することを目的として行う.また,可能であればDNAを抽出してGenBankに配列を登録することと,分布や季節消長などの生態も解明することも試みる.

内容

 生息地とされる千葉県鴨川市の海岸において,還元環境の砂を採集する.調査は1〜2ヶ月ごとに計6回の予定で,初回の調査は過去に報告された地点を重点的に行い,以後は季節変化を確認するための同地点での再調査と,分布を確認するための房総半島の別地点での調査を継続して行う.
 採集した砂は保冷して実験室に持ち帰り,30 μmのプランクトンネットを用いた麻酔海水かき混ぜ法によって微小動物全般を抽出し,実態顕微鏡下で顎口動物のみを選別する.各個体は生きているうちに光学顕微鏡下で写真撮影し,外形とサイズを記録した後,ブアン液またはDESS液で固定して永久プレパラートを作成する.
 位相差顕微鏡を用いて観察および撮影を行い,種分類に必要な硬質構造(顎)および生殖器官を詳細に記録する.また,一部の個体では軟組織を次亜塩素酸ナトリウム液で分解して硬質構造を露出させ,SEMによる微細構造の観察も行う.個体数が十分に得られた場合は,DESS液で固定した標本の一部を破砕してDNAを抽出し,先行研究で用いられたプライマーを用いてCOI,18Sの塩基配列を決定する.
 観察結果を顎口動物全種の記載論文と比較して,観察した個体の種名を同定する.おそらくは新種であることが期待されるので,その場合は新種記載として学名を命名して公表する.既知種であった場合も,本邦からの初記録として再記載論文を公表する.塩基配列は記載に添えて公表するとともに,GenBankにも登録する.

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