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2015.09.262015年自然科学研究教育センター・シンポジウム 終了

日時 2015年09月26日 ( 土 )  13:00–17:00
会場 日吉キャンパス 第4校舎B棟 J11番教室
主催 慶應義塾大学 自然科学研究教育センター
内容 知能とは何か
講師 今井 倫太 氏 慶應義塾大学 理工学部情報工学科 教授
金子 知適 氏 東京大学大学院 情報学環 准教授
山川 宏 氏 株式会社ドワンゴ ドワンゴ人工知能研究所 所長
石黒 浩 氏 大阪大学 基礎工学研究科 特別教授,ATR石黒浩特別研究所 客員所長(ATRフェロー)
参加費 無料(学生・一般の方来場歓迎。事前申込不要。)
対象 学生・教職員・一般

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プログラム

13:00 開会挨拶  長谷山 彰(教育担当常任理事、・文学部教授)

13:15 講演1.『インタラクションと知能』
今井 倫太 氏(慶應義塾大学理工学部情報工学科教授)

14:05 講演2.『コンピュータ将棋はなぜ強いのか-その技術と進歩-』
金子 知適 氏(東京大学大学院情報学環准教授)

(休憩20分)

15:10 講演3.『全脳アーキテクチャーからアプローチする汎用人工知能』
山川 宏 氏(株式会社ドワンゴ ドワンゴ人工知能研究所 所長)

16:00 講演4. 『ロボット社会における人とロボットの知能』
石黒 浩 氏(大阪大学 基礎工学研究科 特別教授,ATR石黒浩特別研究所 客員所長(ATRフェロー))

16:50 閉会挨拶   小林 宏充 所長(センター所長、・法学部教授 物理学)

講演要旨

『インタラクションと知能』(今井 倫太 氏)
コンピュータやセンサ技術が発達し、人とインタラクションできる機械の構築が可能になった。また、ディープラーニングに代表さる機械学習によって、音声や画像の認識能力が向上しつつある。車の自動運転も実証段階に入っており、実用化される日も近い。しかしながら昨今の人工知能発展のニュースの一方で、自律的に判断・行動し、人とインタラクションできる機械の実現には、未解決の様々な技術的課題が存在し、解決の糸口さえ見つかっていない状況である。真の意味でのインタラクティブな人工知能実現の困難さは、人工知能ブームの中であまり言及されておらず、ブームの終盤において肩透かしの印象を世の中に与えて兼ねない。
 本講演では、知能ロボットを題材として、インタラクティブな人工知能システムを構築するにあたっての課題および、研究の方向性について講演するとともに、現状の人工知能ブームに踊らされずに継続的に研究することの重要性について話す。インタラクティブな人工知能システムの実現は、ロボットを用いた教育・案内や説明サービス・自動運転のユーザインタフェース等、予てより期待されている。また、ソフトバンクのロボットペッパーが発売され、インタラクティブな人工知能が既に実用化された感があるが、行われるインタラクションは、プログラマによって事前に演出された物であり、その場の状況に応じて柔軟に行われる人同士のインタラクションとは異なる。本講演では、インタラクティブな人工知能を実現するにあたり、インタラクション相手の今性・他者と心を読み合う関係・高次の対話処理能力という三つの能力について解説し、三つの能力間の連携の重要性について説明する。

『コンピュータ将棋はなぜ強いのか-その技術と進歩-』(金子 知適 氏)
本講演では,コンピュータ将棋の強さを支える二つの技術,「探索」と「評価関数」を主に紹介する.探索は自分と相手の指し手の組み合わせを考えて未来の様々な可能性をシミュレーションすること,評価関数は予想される各局面の良し悪しを直感的に判断する役割を持つ.コンピュータ将棋は,様々な研究を積み重ねて2013年にプロ棋士に勝つまでになったが,1970年代初めに研究が始まった頃には人間のトップにはずっと追い付けないという予想も有力だった.複雑な将棋の局面を正しく判断するには人間の熟達者の経験や直感が優れ,コンピュータの計算が力を発揮しにくいと思われたためである.実際に,詰みの発見については探索が有効に機能するので2000年以前にほぼ人間を超えていたが,将棋の総合的な強さを身につけるには近年実用化された機械学習による評価関数の劇的な進歩を待つ必要があった.現在のコンピュータ将棋は,対局前に準備される評価関数の機械学習と対局中の探索において2種類の大規模な計算を行うことで,未知の局面でも良い指し手を選ぶことができる.一方で,その思考方法が人間と離れていることから,コンピュータが指し手を選んだ理由を,人が簡単には理解できないという側面も持つ.もしコンピュータ将棋のようなタイプの人工知能が他の分野で登場したとすると,学習によってお手本や経験を一般化して学んだり,その場で熟考してより良い案を作ったりする能力を持つだろう.しかし,思考の背景を説明することが苦手なので,人工知能とチームを組む人間の努力が求められるかもしれない.

『全脳アーキテクチャーからアプローチする汎用人工知能』(山川 宏 氏)
黎明期(1960年代)の人工知能(AI)は,素朴に人間のような知能の実現を目指したが,その実現は思いの外難しかった.しかし現在,個別の問題領域に特化すれば,人を凌駕することは珍しくない.一方で汎用人工知能(AGI)は経験を蓄積することで多様な問題に柔軟に対処するAIである.よって今となっては,AGIが,解くべき課題は,人間が問題領域毎に設計している領域依存知識を自動獲得する能力の実現に還元され,私はこの能力を領域知識学習と呼んでいる.
 領域知識は例えば画像の不変性のように問題領域毎に共通ではあるが,探索すべき仮説空間は膨大である.しかし現在,計算リソースと電子データの継続的な増大が領域知識の獲得しうる範囲を広げており,例えば深層学習によって一般物体認識がほぼ実現されている.本来的にAIは,脳に似せる必要はないが,神経科学知見が急速に蓄積しつつある今,汎用知能の実例としての脳は,情報技術的なブレイクスルーを得る際の参考として有望である.そこで我々は,脳を他種の機械学習モジュールが結合されたシステムとみなしてAIを設計する全脳アーキテクチャ研究を進めている.講演ではその実現に向けての有望性とともに課題についても議論したい.最後に,WBAを始めとした,AGI技術の延長上において包括的に人の知能を凌駕することで,生産活動へのさらなる貢献や,新たな科学技術の発見や発明に貢献することが期待される.しかしそれ以前に,AGIが一般目的技術という性質により,次第に多く事業分野における諸課題への適用において,導入などのコスト面からみて優位になりうることを述べる.

『ロボット社会における人とロボットの知能』(石黒 浩 氏)
我々人間は,人間を認識するための生まれながらの脳の機能を持つ.それ故に,人間に酷似したロボット,すなわちアンドロイドは,人間とロボットやコンピュータとの関わりにおける理想的な情報メディアになる.
 講演者は,これまでに様々な人と関わるロボットやアンドロイドロイドを開発してきた.ジェミノイドは実在の人間をモデルにした遠隔操作アンドロイドであり,操作者の存在を遠くの地に転送することができる.操作者はジェミノイドを通して誰かと話しをすると,そのアンドロイドの体を自分の体であるかのように認識し,誰 かがジェミノイドに触ると,自分の体に触られたかのような感覚を持つ.
 しかしながら,ジェミノイドは,万人に理想的な情報メディアではない.たとえば,高齢者は,成人や成人型のアンドロイドを話すことに,しばしばためらいを感じる.問題は万人に理想的なメディアとは何であるかである.そのことを調べるために,講演者は,人と関わる人間型ロボットのミニマルデザインを提案している.そのロボットはテレノイドと呼ぶ.ジェミノイドは実在人間の完全なコピーであり,いわば人と関わる人間型ロボットのマキシマムデザインというべきものである.一方で,ミニマルデザインは人間のように見えるが年齢や性別を判定することができないデザインである.高齢者はこのテレノイドとの対話を大変楽しむ.本講演では,これらロボットの設計原理と人間との対話における影響について議論する.

プロフィール

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    今井 倫太 氏

    慶應義塾大学 理工学部情報工学科 教授

    平成4年慶應義塾大学理工学部電気工学科卒業.平成6年同大学大学院計算機科学専攻修士課程修了.同年,NTTヒューマンインタフェース研究所入社.平成9年ATR知能映像通信研究所へ出向.平成14年慶應大学大学院理工学研究科後期博士課程修了.平成21年〜22年シカゴ大学客員研究員. 博士(工学).現在,慶應大学理工学部情報工学科教授およびATR知能ロボティクス研究所研客員究員.人型ロボットとのインタラクションの研究に従事.情報処理学会,電子情報通信学会,日本人工知能学会,日本認知科学会,ヒューマンインタフェース学会,ACM,IEEE各会員.

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    金子 知適 氏

    東京大学大学院 情報学環 准教授

    東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了.博士(学術).同大学大学院総合文化研究科助手,助教,准教授を経て,2015年より情報学環准教授.情報処理学会,人工知能学会,日本ソフトウェア科学会,ACM,コンピュータ将棋協会各会員.2003年頃より,オープンソースの将棋プログラムであるGPS将棋の開発に参加.著書:「人間に勝つコンピュータ将棋の作り方」,「コンピュータ将棋の進歩6」.

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    山川 宏 氏

    株式会社ドワンゴ ドワンゴ人工知能研究所 所長

    1987年:東京理科大学理学部物理学科卒業 1989年:東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 修士課程修了 1992年:東京大学大学院 工学系研究科 電子工学専攻 博士課程修了

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    石黒 浩 氏

    大阪大学 基礎工学研究科 特別教授,ATR石黒浩特別研究所 客員所長(ATRフェロー)

    1963年生まれ。大阪大学基礎工学研究科博士課程修了。工学博士。京都大学情報学研究科助教授,大阪大学工学研究科教授を経て,2009年より大阪大学基礎工学研究科教授。ATR石黒浩特別研究所客員所長(ATRフェロー)。社会で活動するロボットの実現を目指し、知的システムの基礎的な研究を行う。ロボット研究においては,従来,ナビゲーションやマニピュレーションという産業用ロボットにおける課題が研究の中心であったが,インタラクションという日常活動型ロボットにおける課題を世界に先駆けて提案し,研究に取り組んできた.そして,これまでに人と関わるヒューマノイドやアンドロイド、自身のコピーロボットであるジェミノイドなど多数のロボットや,それらの活動を支援し人間を見守るためのセンサネットワークを開発してきた.そして,2007年には、Synectics社(英)の調査「世界の100人の生きている天才のランキング」で日本人最高位の26位に選出される。また2011年には,大阪文化賞を受賞.2013年大阪大学特別教授。主な著書に「ロボットとは何か」(講談社現代新書),「どうすれば「人」を創れるか」(新潮社)などがある。


センター主催のシンポジウム・講演会について

当センターの活動の一環として、シンポジウム・講演会を年3〜4回程度開催しています。その目的は、多分野にまたがる自然科学の相互理解を深め、研究の推進と教育の質の向上を図ることにあります。参加費は無料です。聴講の対象も制限はありません。特に指定のない場合、事前申込は不要です。ただし、取材の場合は事前に許可を取って下さい。

天災・交通事情など予期せぬ事態により変更・中止となる場合がございます。
その場合、本ウェブサイトで告知しますので、事前にご確認下さい。


問合せ先:慶應義塾大学 自然科学研究教育センター 事務局 (日吉キャンパス来往舎内)
〒223-8521 横浜市港北区日吉 4-1-1
Tel: 045-566-1111(直通) 045-563-1111(代表) 内線 33016
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