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放射線と放射能鉱物 (a)

身の周りに放射線があること、また放射性鉱物から発せられるγ線の強さは、距離の二乗に反比例することを学ぶ。昆布などから放出される放射線がα、β、γ線のどれであるか区別する方法を考える。

実験風景

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実験の紹介

実験の目的とねらい

宇宙の始まりは、物質の始まりでもある。ビッグバンは今から137億年前に起こったとされている。これは現在の宇宙の膨張速度をもとに理論的にそれを逆算して、1点に集中した宇宙までさかのぼったときの推定値である。太陽系および地球の誕生は、46億年前とされているが、これは隕石や月の石の年代測定、つまり実験データが根拠となっている。もっと時間スケールが短く、数千年から数万年前の化石などについては、炭素14年代測定法が使用される。なお、放射能というと、放射線障害を引き起こす恐ろしいものというイメージが強い。しかし、放射線は目に見えないだけで、我々は(弱いながら)自然放射線で取り囲まれている。この事実は、以外と知られていない。放射線に対して、正しい認識を持ち、またそれを安全にうまく利用していくことが重要である。

実験内容

・自然放射線の強さ(バックグラウンド)を、鉄板(テストプレート)ありとなしで5分間計測する。
・身の回りのものの放射線の強さをチェクする。昆布から出ている放射線がα、β、γのどれか、測定操作を工夫して判別する。
・放射能鉱物標本の放射線の強さが、鉱物の種類、産地、大きさなどでどのように違うか調べる。
・放射能鉱物標本を1つ選び、放射線の強さの距離依存性を調べる。
・サイコロ(100個)を使って、放射性元素壊変のモデル実験を行う。
 

実験上の注意

<実験開始前の準備>
[使用器具および試薬]
放射線検出器(インスペクターおよびワイプテストプレート)
昆布(各種)
放射能鉱物標本(ユークセン石、モナズ石、ベタフォ石など)
KCl(粉末約10 gを小さいビニール袋に入れたもの)
メジャー
冊子(厚さ1 cm)
サイコロ(100個1セット)
トレーおよびカップ
電卓

<実験開始時の注意>
・放射能物質の管理と運用は、被ばく防止のため法律で規制されている。しかし、今回扱う放射線鉱物は、標本として市販されているもので、それほど強い放射線を発しているものはない。ただし、直に手で触ると、その粉末が指につき、口に入る可能性があるので、容器から取り出さないこと。
・バックグラウンド測定後にクラス全体を2つに分け、放射線の測定から始めるグループと、崩壊速度のシミュレーションから始めるグループに分ける(混雑を緩和するため)。

実験テーマの履歴など

慶應義塾大学の文系学生を対象とする化学実験において、この実験テーマは2010年に開始されました。実験を開始するにあたって、種々の情報を参考にしました。(1) 放射性元素の崩壊速度のシミュレーションについては、文献2を参考にしました。簡易型ガイガーカウンターであるインスペクターを用いて放射線を判別する方法などについて、解説をまとめました。(3)


参考文献
(1)「楽しい化学の実験室Ⅱ」(日本化学会編、東京化学同人、1995年).天然の放射能、pp.125-141。その他。
(2)「慶應義塾高等学校 地学実習帳」(慶應義塾高等学校地学教室2001年).放射性元素のモデル実験(サイコロ実験)、pp.35-36.
(3) 大場茂、向井知大、小畠りか 「ガイガーカウンターを用いた放射線強度測定実験」、慶應義塾大学日吉紀要、自然科学No.51, pp43-60 (2012年).
 

実験テキスト

自然放射線と放射能鉱物  pdf (544KB)