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アルコールの蒸留 (*)

物質により沸点が異なること、またそれを利用して分離が可能であることを学ぶ。
 

実験風景

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実験の紹介

実験の目的とねらい

蒸留による物質の分離方法は、古くから知られていた。この実験では、気体の蒸気の温度と留出液のアルコール濃度および燃焼性に相関があることを確認する。そして、特定の液体成分を蒸留によって取り出す原理を理解する。また、アルコールパッチテストを行うことにより、各自がアセトアルデヒド分解能力の強弱を知り、急性アルコール中毒やアルコール依存症になる危険性を認識する。

実験内容

赤ワイン(あるいは焼酎)50 mlを蒸留する。蒸気温度の時間変化を記録しながら、留出液を3 mlずつ分画する。1 mlの質量(つまり密度)を測定し、表をもとにエチルアルコールの質量%濃度を求める。また、原液および各留出液の燃焼試験を行う。また、アルコールパッチテストを行う。

実験上の注意

<実験開始前の準備>
[使用器具および試薬]
メスシリンダー
100 ml 丸底フラスコ
冷却管セット(枝付き連結管、リービッヒ冷却器、アダプター)
温度計(蒸気測定用)
温度計(室温測定用)
赤ワイン(あるいは焼酎)50 ml
消毒用エタノール(濃度76.9~81.4 vol %)および専用スポイト
沸騰石
マントルヒーターおよび電力調節器
電子天秤
ピペッター
1 ml ホールピペット
20 ml サンプル管(3個)
るつぼ(4個)
るつぼのふた(1個)
アルコールパッチシール
個人器具および机上試薬

<実験開始時の注意>
・ 冷却器等は乾いていることが望ましい。継続して使用する際には水洗いはせずに、そのまま放置する。
・ 水銀温度計は破損しないように特に注意する。もし破損した場合にそなえて、水銀回収用のびんが用意してある。
・ 100 mlフラスコに原液を50 ml以上入れると突沸しやすくなるので、入れすぎないように注意する。
・ ワインは蒸留の途中で煮詰まってくると粘性が増す。原液がわきたち、冷却器の方へ混入しそうなときは、加熱を少し弱めること。
・ 焼酎の方は、アルコール分がほぼ出終わった後は、留出液の出がわるくなるので、加熱を強める。
・ 蒸留後の残留液は回収する(沸石回収のため)。
・ ホールピペットを連続して使う場合、共洗いを忘れてはならない。

<失敗例>
・ ヒーターのスイッチに足があたり、加熱が一時的に下がってしまった。
・ 蒸留の実験が終わったのに、ヒーターの電源を切らなかったため、赤ワインが煮詰まってフラスコにこびりついて取れなくなった。
・ 留出の分画2本目でアルコール濃度が高いはずなのに、燃焼しなかった。(理由:火は1回でつくとは限らない。数回点火を試みるべきであった。)
・ 留出液1 mlの質量を測定したところ、アルコール100%よりも密度が小さくなった。(理由:ホールピペットの使い方が正しくなかったと推定される。)
 

実験テーマの履歴など

慶應義塾大学日吉キャンパスの文系学生を対象とする化学実験において、この実験テーマは2009年に開始されました。この実験テーマを始めるに当たっては、文献(1)の内容をベースにしました。焼酎は25%のものも市販されていますが、蒸留の途中でアルコールから水への切りかわりが遅くなるので、20%の方が実験に適しています。アルコール蒸留の実験に関して、解説を書きました(2)。

参考文献
(1) 「赤ワインからエタノールを取り出す」 http://home.hiroshima-u.ac.jp/tkoike/ssh/exp2.pdf
(2) 向井知大、大橋敦史、大場茂「アルコール蒸留の実験条件」、慶應義塾大学日吉紀要、自然科学No.47, 41-61  (2010年).

実験テキスト

アルコールの蒸留  pdf (400KB)

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