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ペーパークロマトグラフィー

ペーパークロマトグラフィーを利用して色素の混合物が分離できることを学ぶ。

実験風景

*写真をクリックすると大きくなります。

実験の紹介

実験の目的とねらい

物質を分離する手段としてクロマトグラフィーは、原理は単純であるが非常に有効な方法である。本実験では、ろ紙に付着させた混合色素を水・メタノール混合 溶媒を用いて展開する。溶媒が紙にしみ込みながら、色素を徐々に分離していく様子を見ることができる。展開溶媒として用いる水とメタノールの混合比を変え た場合に、移動の順番や分離の程度が変化する様子も観察する。

実験内容

ローダミンB(ピンク色)、メチルオレンジ(橙色)、インジゴカーミン(青色)の混合溶液を試料として用いる。短冊状ろ紙の下から2cmのところに鉛筆で 線を書き、そのライン上に色素混合溶液をスポットする。また、基準となる純物質として、メチルオレンジまたはインジゴカーミンの溶液も並べてスポットす る。これを水・メタノール混合溶媒を用いて7cm以上(約1時間)展開する。明確に分離したスポットについては、その移動距離からRf値を求める。

実験上の注意

<実験開始前の準備>
[使用器具および試薬]
・クロマト管
・短冊状ろ紙
・定規
・鉛筆
・キャピラリー
・混合試料:ローダミンBとメチルオレンジ、インジゴカーミンの混合液
・純物質:ローダミンBとメチルオレンジ、インジゴカーミンの各溶液
・展開溶媒:実験台により水:メタノール=1:3、または2:1。 (溶媒の比率を変えると、展開の仕方が異なってくることを観察する)。
・ドライヤー

[試薬の調製]
・ローダミンB 700 mgを水:メタノール=1:2混合液ないしはメタノール300 mlに溶かす。
・メチルオレンジ700 mg を水:メタノール=1:1混合液300 mlに溶かす。
・インジゴカーミン1100 mg を水300 mlに溶かす。(インジゴカーミンは退色しやすいので半年以上の長期保存はできない)。
・上記の3種類の原液を1:1:1の割合で混ぜて、色素の混合試料を作る。混合試料の調整の仕方により、結果がおおきく影響する。ローダミンBの粉末が溶 け残っているとテーリングを起こす。(学生実験に先立って予備実験を行い、色素の混合液がきれいに分離することを確認しておく)。

<実験開始時の注意>
・クロマト管はホルダーから取り出さない。
・キャピラリーは各溶液にそれぞれ専用のものを用意してある。(間違って液を混ぜないこと)。
・ろ紙は、展開に使う部分は手で触らない。
・ろ紙はクロマト管の側壁に付いてはいけない。
・展開溶媒および展開時間を記録する。
・溶媒が蒸発しやすいので、クロマト管はゴム栓を開けたままにしない。
・乾燥させる前に、まず溶媒の先端の線引きを行なう。

<失敗例>
・スポットのときに、ろ紙に引いた原点の線からずれた。(対処:やり直す)。
・スポットの色がうすく、展開後にほとんど見えなくなった。(対策:液を重ね打ちする)。
・ローダミンBのテーリングが激しく、スポットの分離がまったくわからない。(理由:混合試料の調製が不適切で、ローダミンBの粉末が溶け残っていた)。

実験テーマの履歴など

慶應義塾大学日吉キャンパスの文系学生を対象とする化学実験において、この実験テーマが開始されたのは1949年の新制大学(文、経、法、工学部)発足の翌年以降と推定されます。その実験内容は、陽イオン(Ag+, Hg22+, Pb2+)をブタノ―ル/ピリジン/水の混合溶媒で短冊状のろ紙上で展開し、硫化水素を吹きかけて黒色化して検出するという内容でした(1)。
2001年に、分析対象を陽イオンから有機色素へ変更しました(2)。展開溶媒として、水とメタノールの混合溶媒を用いますが、この混合比を変えると展開 の順番が逆転します。種々の混合比を試行して検討した結果、スポットの分離が一番良くなる比率(水:メタノール=1:3)を用いることにしました。
2004年に、展開溶媒の比率が違う場合を比較できるように、水:メタノール=2:1の条件でも実験することにしました。

参考文献
(1)「大学課程 一般化学」佐々木洋興、辻岡昭、膳昭之助、大矢徹 共著(オーム社、1968年).クロマトグラフィーによる定性分析[実験6] pp.264-265.
(2)「化学実験」名古屋工業大学化学教室編(学術図書出版1990年).ペーパークロマトグラフィー、 pp.82-85.

実験テキスト

ペーパークロマトグラフィー  pdf (574KB)

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