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ヒドラの飼育法

はじめに

ヒドラを比較的大量に飼育する方法を以下の項目に分けて記述する。1. ヒドラ飼育水の調製法2. 餌となるアルテミア乾燥卵の孵化法3. 餌(アルテミア幼生)の与え方4. 飼育水の交換法

材料

チクビヒドラ(Hydra magnipapillataまたは、エヒドラ(Pelmatohydra robusta
アルテミア(Artemia salina:塩湖産の節足動物である。その耐性卵(乾燥卵)は常温で長期保存でき、ペットショップなどで容易に入手できる。必要な時に簡単に孵化させることができるので、ヒドラの餌として使われている。

器具

アルテミア飼育のためのシャーレ:直径30cm程度の底広の容器。
ヒドラ飼育のためのシャーレ:直径30cm程度の底広の容器。
ビーカー 
メスシリンダー
pHメーター
駒込ピペット
茶こし
 

手順

  1. ヒドラ飼育水の調製法
    ヒドラ飼育水(注1)は、下記に示す4種類のストック溶液(溶液A, B, C, D)を使用前に混合し、蒸留水で1000倍になるように希釈するとよい。
     
    ヒドラ飼育水 1000 ml
    溶液A 1ml
    溶液B 1ml
    溶液C 1ml
    溶液D 1ml
    蒸留水で1000ml にメスアップ
     
    溶液A 500 ml
    NaCl 29.2g
    CaCl2 2H2O 73.5g
    KCl 3.7g 
    蒸留水で500ml にメスアップ
     
    溶液B 500 ml
    Tris 60.6g 
    蒸留水で500ml にメスアップ
    濃塩酸 でpH 7.6になるようにpH メーターで測りながら滴下する
     
    溶液C 500 ml
    MgSO 7H2O 12.3 g
    蒸留水で500ml にメスアップ
     
    溶液D 500 ml
    EDTA 4Na 4.5g 
    蒸留水で500ml にメスアップ
     
  2. アルテミア乾燥卵の孵化法
    1. 20gの天然塩(注2)を1000 mlの蒸留水に溶かしたアルテミア飼育水を用意する。
    2. シャーレ(注3)に i. のアルテミア飼育水を入れ、静置後、1 g(4000匹に相当)のアルテミア耐性卵を均一に撒く。乾燥卵は、重なると孵化率が低下するので留意する。
    3. 20℃で2日、または30℃で1日培養し、孵化させる。
       
  3. アルテミア幼生(餌)(注4)の与え方
    1. 光に集まる性質(走光性)を利用して、孵化したアルテミア幼生を集める(注5)。
    2. 集まったアルテミア幼生は、駒込ピペットを用いて、ビーカーに移す。
    3. アルテミア飼育水に含まれている塩分を取除くため、茶こし(注6)を用いて、約50 mlのヒドラ飼育水でアルテミア幼生を3回洗う。
    4. ヒドラ飼育容器の中へ均等にアルテミア幼生を撒く。すべてのヒドラがアルテミア幼生を捕まえ、触手を丸めていることを確認する。
       
  4. 飼育水の交換法
    1. アルテミア幼生を与えた後、4-5時間静置する。
    2. 指や筆を用い、飼育容器を撫で、飼育容器からヒドラを剥がす(注7)。
    3. 茶こしを用いて、摂餌後のヒドラをよく洗う。
    4. ヒドラが出す粘液を十分に取除くため、飼育容器を水洗いする。
    5. 飼育容器に iii. のヒドラと新たなヒドラ飼育水を入れ、18~20℃で飼育する。ヒドラが密集しないように留意する(注8、9)。

材料調整のポイントとトラブルシューティング

注1: 淡水産のヒドラ飼育水として、汲み置き水道水を用いた場合、原水の水質や配管素材によっては、銅や重金属のイオンが含まれるためうまく飼育できないことが ある。メダカ飼育水で飼育できるという報告(参考文献1)があるので、薬剤を調達することが困難な場合は、ペットショップで販売されている重金属を含まな い水質調整液でも代用できる。
注2:アルテミア幼生をうまく育てるためにはNaCl以外のミネラル分も必要であり、スーパーなどで入手可能な“天然塩”が望ましい。
注3:底広でない容器(ビーカーなど)を用いる場合は、エアーポンプで灌流し、乾燥卵が重ならないように留意する。
注4:当日孵化したアルテミア幼生を使用する。ただし、孵化後4℃で保存すれば、翌日まで使用可能である。
注5:孵化していない卵は沈み、孵化したアルテミア幼生は容器の中層を泳ぎ、孵化したあとの卵の殻は表面に浮いている。中層に光りを当て、効率よくアルテミア幼生を集める。
注6:なるべく細かい目の茶こしを使用する。
注7:毎日掃除する場合は、筆よりも指で剥がす方が良い。
注8:大量にヒドラを飼育する場合は、酸素を十分に取り入れることができるように飼育容器は、蓋を外す方が良い。
注9:投餌と飼育水の交換は、週に一度は行ったほうが良い。比較的大量のヒドラを準備する必要がある場合は、投餌と飼育水交換は、毎日行う。

印刷用PDFマニュアル

ヒドラ飼育法  pdf (250KB)

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