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センター案内

所長挨拶

 生命進化に鑑み、所信を表明したい。進化(エボルーション)は進歩とイクオールではない。変化である。別の種になることである。生命進化の駆動力のひとつに、多細胞生物では、生殖細胞を生み出す減数分裂過程での遺伝子組換えがある。これにより、種を構成する個体において、遺伝子組成は少しずつ異なったヘテロ集団となる。このヘテロ集団の一部が、別種に進化する。一方、生命進化の他の駆動力として、生命存在の舞台である地球環境は時間とともに変化する(大陸移動、温度、酸素、二酸化炭素などの大気組成など)。舞台が変化すれば、今までの舞台に適応していた種は、別種に変化しないと絶滅する。現在、地球上には数千万以上と推定される種が盤踞しているが、この背景には、99%以上の種が絶滅して、地球という舞台から消えていったと考えられている。このように、種の絶滅は必定であり、遺伝子組成のヘテロ集団が進化することによってのみ命のバトンは受け継がれる。

 ただし、押さえておくべき点がある。減数分裂に加え、突然変異によるゲノム変化も生命進化の重要な駆動力となるが、突然変異した遺伝子は環境とフィットせずに消えていく。要は、進化しないと絶滅するし、突然の進化も命の継続としてはあり得ない。

 私は、青木健一郎、大場茂、小林宏充の諸兄に続き、自然科学研究教育センター(自然セ)第4 期の所長を拝命することになった。歴代所長のもと、自然セは6 年半を経過し、多様な研究と教育内容を具現化させながら、安定した活動期に入っている。この組織は約100名の構成員からなるヘテロ集団ゆえ、自然セ自体が生物の1 種のようにも感じられる。生命進化の普遍的原理からのアナロジーは示唆に富む。私は、自然セ所員の意識に、無理のない、少しずつの進化を促すことを念頭に、2 年間の任期を務めたいと思う。具体期には、以下の2 項目を考えている。

 本年度、前代の小林所長が、研究と教育の両輪を回すという所信表明のもと大働きされた結果、外部からの大型研究資金獲得を実現し、新田宗土(商学部)氏をリーダーとするポスドク9 名ものトポロジー研究プロジェクトが発足した。今迄、文系教育拠点と考えられていた日吉キャンパスに誕生した本格的な研究拠点である。卓越した研究成果を挙げてもらうための支援を自然セとして行いたい。同時に、このプロジェクトは、大学院を持たない組織として、多くの所員が個人レベルでの研究に終始している現状において、自然セが正式な研究共同体を持ったらどうなるかというケーススタディーとなる。この試みが成功すると、自然セで共同研究を実現させるノウハウが蓄積され、より多くの共同研究が立ち上がり始めると予測される。総じて、個人から共同まで多岐にわたるよりヘテロな研究体制が生じ、自然セ所員の研究レベルの質がさらに上がる正のフィードバック効果をもたらすと期待される。これらを通して、自然セへの帰属意識が、研究者や教育者としてのプライドに昇華されていくと嬉しい。

 次に、自然セ活動の諸委員会の有り様に対する意識も少し変えたい。今まで、所員に時間的迷惑をかけないとの配慮的なコンセンサスがあったと感じる。この遠慮をなくしたい。なぜなら全所員の自然セであるがゆえ、執行部をはじめ少数の人たちだけが大汗をかく必要はないと思う。自然セ活動は、3 つの小委員会が運営している。行事と広報委員会では、講演会やシンポジウムを実務的にこなす必要があるが、各委員だけでやらねばならないといった義務感をなくし、所員全体がテーマ決めなど自由な発想を披露できる雰囲気作りを目指したい。一方、今まであまりオモテに出なかった構想委員会を活性化し、将来の自然セ活動のアイデアをあぶり出したい。また、これらの委員会の上位に位置する運営委員会では、専任と有期、職位などをバランスし、ヘテロな集団として構成した。自然セ所員全体に対して、さらに情報が伝わる風通しの良い状態を構築したい。

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